昨夜ワクチン後遺症研究会のzoom討論会があり、僕がメインスピーカーとして基調講演をした。
ものすごい隠しネタを話したわけではない。ただ淡々と、僕のワクチン後遺症患者に対する臨床経験をお伝えした。どのように治療介入し、そして患者にどのような変化が見られたか(あるいは見られなかったか)を語った。僕のブログを読んでいる人にとっては、すでに既知の内容も多かったと思う。
紹介したのは全部で5症例。
たとえば、カルニチン(エルカルチン)が著効した症例。
https://note.com/nakamuraclinic/n/na00b18d3e235
ワクチン接種後に生じた過呼吸と吐き気が、カルニチンの投与により軽快した。なぜ効いたのか?
まず、コロナウイルスがどのようにして細胞に侵入していくのか、その機序について振り返ってみよう。
コロナウイルスの表面には、みなさんご存知、スパイクタンパクというトゲトゲがある。このトゲが、細胞膜表面に発現したACE2という受容体にくっついて、細胞内にパクっと取り込まれる(受容体媒介エンドサイトーシス)。このとき、スパイクタンパクとACE2が結合したままでは上手に取り込めないので、その結合を切断しないといけない。その切断を助けるのが、FurinとTMPRSS2(膜貫通型セリンプロテアーゼ)である。これにより、ウイルスが細胞内に侵入する。
さて、カルニチンを投与すると、これらACE2、TMPRSS2、フリンが著明に減少した。ウイルスにとっては困った事態である。スパイクタンパクのトゲでACE2をひっかけて、そこからセリンプロテアーゼやフリンの切断により細胞内に侵入したいところ、こういう取っ掛かりが少なくなっては、細胞に感染できない。これがカルニチンによる感染阻害のメカニズムです。
カルニチンがワクチン後遺症に効くのは、ACE2が減少したため、体内で産生されるスパイクタンパクが細胞に影響を与えにくいためかもしれません。
5ALAの著効例として、30代男性、50代男性、60代女性の症例を取り上げた。
https://note.com/nakamuraclinic/n/nda283e9f175a
https://note.com/nakamuraclinic/n/na514d7664dcc
https://note.com/nakamuraclinic/n/nbd0c1a1e2b8e
疲労感、睡眠障害、関節痛、胸痛、頭痛など、ワクチン接種後に慢性化する症状に対して、5ALAが見事に効く。なぜこんなに効くのか。
もともと5ALAは、長崎大学の北潔教授がマラリアへの有効性に注目して、研究していたものだった。ところがコロナ禍になり、コロナウイルスへの対策を研究するうちに、5ALAがコロナ感染にも有効であることが分かった。しかもそれは、アルファ株だけではなく、デルタ株にもオミクロン株にも有効性が証明された。
僕が5ALAの有効性を知ったのは、去年7月高知県在住の宜保医師からの手紙による。当時は身分を明かしておられなかったが、今は全国有志医師の会のメンバーとして活動する仲間である。
https://note.com/nakamuraclinic/n/nbfd6a5ed3f5f
この記事で5ALAを紹介したところ、大変な反響があった。「自分にも5ALAが効いた」という声が多数届いた。
https://note.com/nakamuraclinic/n/n03a2b454126a
さて、改めて、この5ALAとは一体どんな物質なのか?
5ALA(5アミノレブリン酸)は、アミノ酸の一種で、これが8個集まると、コプロポルフィリノゲンⅢができる。この中央にコバルトが配位されると、ビタミンB12になる。
コプロポルフィリノゲンⅢからプロトポルフィリンⅨ(PPⅨ)ができる。PPⅨの中心にMgが入ると緑色のクロロフィルに、Feが入ると赤いヘムになる。
5ALAは、細菌にとって必須であり(ビタミンB12産生)、植物にとって必須であり(クロロフィル産生)、動物にとって必須(ヘム産生)である。つまり、すべての生物の生存に必須の物質ということである。
5ALAは食事由来、体内産生(ミトコンドリアで産生)の両方あるが、ミトコンドリアの健康を保つのに極めて重要な物質で、5ALAの供給不全は病気に直結している。逆に、5ALAの代謝に問題がないということは、健康だということである。生化学的な目線で見れば、「健康とは良好なミトコンドリア機能が保たれていること」である。例外はないんじゃないかな。
5ALAは治療のみならず、癌の診断にも使える。
癌細胞は、正常細胞と比べて、フェロキラターゼ(鉄付加酵素)の働きが低下している。正常細胞では、フェロキラターゼがPPⅨに鉄をくっつけてヘムを作る、その作業が問題なく行われているところ、癌細胞ではそれがうまく行かず、ヘム産生が低下し、PPⅨがミトコンドリアに蓄積している。PPⅨが高濃度にたまった癌細胞は、青色光の照射により赤い光を発する。これにより癌細胞のスクリーニングが可能で、実際臨床現場で用いられている。
マラリアに効くのはもちろんで、5ALAと鉄(クエン酸第一鉄)の投与により、マラリアに感染させたマウスの生存率が大幅に向上した。
このマラリアの特効薬とも言える5ALAが、コロナにも効くという。なぜなのか?
北教授は去年、天皇陛下の御前で講義をする機会に恵まれた。研究者にとって、最高の名誉に違いない。そこで天皇陛下がこう問われた。「なぜマラリアの薬が新型コロナにも効くのですか?」
僕らのような下々の民と同じ疑問を、陛下も持たれたわけです。
まず、5ALAがマラリアに効く、その作用機序はざっと以下のように考えられる。
5ALAと鉄の投与により、PPⅨとヘムの産生が高まる。その後、複数の機序でマラリア原虫の増殖が抑制される。PPⅨにより酸化ストレスが生じる。酸化ストレスといえば好ましくないイメージだが、マラリア感染に対しては抑制的に作用する。人体に適度な酸化ストレスは必須だ。
注目したいのは、G4阻害による遺伝情報の転写阻害である。G4とは一体何か?
普通、遺伝子といえば、ワトソン-クリック型の二重らせんをイメージするだろう。しかし、最近の研究によると、実は必ずしもきれいな二重らせんではなく、ところどころに『団子』がある。グアニンが4個集まってGカルテットという平面になり、このGカルテットが積み重なってグアニン4重鎖という立体構造になる。
このグアニン4重鎖は、たとえば神経難病と密接に関わっていることが分かってきた。「脆弱X随伴振戦/失調症候群」は、プリオン病の一種で、異常タンパク(FMRpolyG)が脳に蓄積して発症する。しかし、5ALAの投与により、PPⅨがG4に結合して異常タンパクの凝集を抑制し、神経症状を改善する。
これは神経難病で悩む人にとっての福音に違いない。ワクチン接種後に発症したクロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、アルツハイマー病などにも5ALAが有効かもしれない。
最後に、40代女性の症例。
https://note.com/nakamuraclinic/n/n5bf3aad8ce5f
この人は僕が治療したというよりも、当院受診時点ですでに自分でいろいろな治療法(漢方、整体、各種サプリなど)を試していて、僕が勉強させてもらった格好だ。「アサイゲルマニウムがよく効いた」とのことで、これについて紹介したい。
まず、アサイゲルマニウムの安全性は折り紙付きです。1967年に浅井一彦博士が世界で初めて有機化されたゲルマニウムの開発に成功して以来、55年の歴史がある。これまで数多くの安全性試験(急性、慢性、催奇形性など)が行われていて、まったく無害であることが証明されている。
アサイゲルマニウムと5ALAとの関連で言えば、この論文を紹介したい。
アサイGeを飲むと、5ALAの体内産生が高まる。これは極めて重要な知見です。ゲルマニウムには様々な生理作用がありますが、その一部は、Ge投与により高まった5ALA産生によるものかもしれません。
結局、感染症としてのコロナのどういうところがタチが悪いといって、あれはミトコンドリア毒なんです。コロナウイルスが細胞に侵入してミトコンドリアの増殖を停止させて、結果、細胞が死ぬ。
一方、コロナワクチンもミトコンドリア毒です(というか、たいていのいわゆる「毒物」はミトコンドリア毒である)。ワクチン接種によりミトコンドリア内のシトクロム濃度が低下し、これによりATP産生が低下する。
ということは、ミトコンドリアを元気にする生活習慣、健康法(日光浴、温冷浴、運動など)、食材、サプリなどは、すべて、コロナ感染対策にもなるし、ワクチン後遺症対策にもなる。
たとえば、ミトコンドリア呼吸鎖がきちんと機能するには、NAD(ざっくりナイアシン)、FAD(ざっくりビタミンB2)、コエンザイムQ10、グルタチオン、NACなどが必要で、これらはミトコンドリア毒に対するantidote(解毒剤)として作用する可能性がある。
アメリカのコロナ治療(およびワクチン後遺症治療)を目的とした非営利団体(FLCCC;Front Line COVID-19 Critical Care Alliance)が、ワクチン後遺症のガイドラインを提示している。
https://covid19criticalcare.com/covid-19-protocols/i-recover-post-vaccine-treatment/
一番最初に来るのは、なんと、断食である。繰り返す。FLCCCは、ワクチン後遺症の治療として、最上位に断食を挙げている。
断食(あるいは小食。要するにカロリー制限)でミトコンドリアが元気になることを示す論文は数多い。たとえば、
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5942780/
断食の次に、イベルメクチンが来ている。
僕の基調講演後、質疑応答になり、長尾先生がこんなことを言われた。
「断食によってオートファジー(細胞が自らの細胞質成分を食べること)が活性化し、デトックスが促進されることを発見し、ノーベル賞をとったのは大隅良典教授。
イベルメクチンを発見してノーベル賞をとったのは大村智博士。
さらに、中村先生の話にあったように、5ALAの世界的権威は北潔教授。
オートファジー、イベルメクチン、5ALA。コロナ対策やワクチン後遺症治療に有効な手法のメインどころは、すべて日本人が発明したんです」
はっとするような指摘だった。
そう、日本人は、コロナ対策をすでに自らの手で開発していた。しかし、ほかならぬ日本人がこの事実を知らない。医者でさえ「FLCCC?何それ?」というレベルだろう。
2020年、コロナが流行り始めた当初、なぜか日本だけがコロナの罹患率が低く、世界中の学者が首をかしげた。「なぜ日本人だけがこんなにコロナにかからないのだろうか?」と。何らかの要因(ファクターX)があるに違いない。そこで、多くの仮説(「日本人の白血球型HLA-A24のおかげで感染から守られてるのではないか?」「ハグや握手をする文化がなく、接触が少ないため、感染が抑えられているのではないか?」「BCG接種のおかげではないか?」など)が提唱された。
僕にも答えは分からない。しかし、日本の伝統的な食事(納豆、醤油、日本酒、甘酒、黒酢など)に高濃度の5ALAが含まれているためではないか。
これはけっこう説得力を感じる。
でも、さすがにあのワクチンを注入した体には、日本食の感染防御効果も太刀打ちできないみたいだね。