使用症例

憑依とうつ病

2020.11.27

【症例】50代女性
【主訴】抑うつ
【現病歴】2019年9月から当院に通院されているが、症状はよくなったり悪くなったり。
本日受診されたが、珍しく旦那さんと一緒に来られた。
「調子は9月頃よりはよくなっているようですが、ここ2,3日すごく悪かった。一日中ずっと家にいて、何もしない。食欲もないし、外にも出れない。風呂も入らないし歯も磨かない。とにかく何もする気がなかったようです。でも今日はちょっとマシで、こうやって診察に来れました。
先生ね、いきなりですけど、霊って信じますか?
妻のこの症状は、霊的なものから来てるんじゃないかなって思うんです。そういうよからぬ波動から身を守る方法、魔除けみたいな方法があれば教えてもらいたいのですが」

予想外の言葉に面食らった。僕は医者であり、霊能力者ではないので(笑)
ただ、この手の要望に対するアドバイスがまったくできないわけではない。それについては後述しよう。
それよりもまず、事情を聞かせてください。どういうことですか?
「妻は、もうここ十数年、年間を通じて半分くらいはしんどいんです。まず、盆の時期、7月頃に憑りつかれます。そう、”憑依される”、ということです。「あ、来そうだな」っていうはっきりした予感があって、で、”入ってくる”。そうすると一気にしんどくなります。
僕の友達で接骨院やってる人がいて、その人、”見える”んだけど、彼に言わせると、妻は典型的な憑依体質なんだそうです。

ほら、霊感っていう言葉、あるでしょ。霊感には2種類あって、ひとつには”見える”タイプ、もうひとつは”触られる”タイプ(憑りつかれるタイプ)で、妻は完全に後者です。霊を見ることはできません。ただ、憑依されたのを感じるだけです。
でも次男が”見える”タイプなんですね。「あー、明らかにおかしいな」ってときに、息子に「どう?憑いてるやろ?」って聞くと、教えてくれる。「うん、ばっちり憑いてる」というときもあれば「憑いたり離れたり、ふわふわしてる」みたいなときもあったり。

その次男も、霊的な症状に悩んだことがあります。
ずっと頭痛があって、いろいろな病院をまわったけど改善せず、最後、三都ブレインクリニックで診てもらったときに、「気の流れが悪い。ちゃんとご先祖様に感謝してるか?墓参りに行った方がいい」と言われました。そこで桂枝加竜骨牡蛎湯を処方されました。墓参りが効いたのか漢方が効いたのか、その後いつの間にか頭痛は消えました。

先月、妻を霊能者に見てもらったんですね。名前と生年月日を書いて、こう、霊視するわけです。すると霊能者が、「今、病院に通って薬飲んでるでしょ?」
一時期抗うつ薬みたいなのを飲んだこともありますが、体に全然合わず、今は飲んでないものですから、「いえ、飲んでませんけど」って答えると、
「おかしいな。明らかに病院に行ってると思うんだけど」
そういう問答があって、「ああ、ナカムラクリニックには通ってる、でも飲んでるのは、いわゆる薬ではないです」って。
それで霊能者が言うんです。「この先生との相性はすごくいいから、まずはここに通って、しっかり治してもらいなさい。それでちゃんと免疫を整えなさい」って。
妻は確かに、先生のブログとかよく読んでるんです。他にもいろいろ霊視で当たってる指摘がありました」

霊がどうのこうの、という話を、非科学的として一蹴する医者もいるだろう。それは分からなくもない。医者は一応、科学者のはしくれだから、理(ロジック)の成り立たない精神とか霊の話を敬遠する気持ちはわかる。でも僕は、そっち系の話、むしろ好きです(笑)

この患者の症状は、いったい何だろうか?
確かに、治療に難渋している。初診から1年以上経つのに、症状は一進一退。食事指導し、抑うつに効くと思しき栄養素をいくつか勧めたが、ぱっとしない。
そこに「治療が効かないのは霊のせいではないか」という示唆があると、なるほど、そういう影響もあるのかな、と思う。こういうのはまんざらオカルトというわけではなくて、かつては「狐憑き精神病」という診断があった。本人は「狐に憑りつかれた」と思っている。だから、きっちり”除霊”すると、症状もケロッと治ってしまったりする。

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以前のブログで、『医師が語る霊障』(橋本和哉著)という本を紹介した。著者の橋本和哉医師は”気当て診断法”で霊的な面から診察と治療を行っている。この本のなかで、アイヌ帯、タンカレー、桂枝加竜骨牡蛎湯などに魔除け効果があると紹介されている。
この患者にもこの本の一読を勧めた。

人間は、体と心、である。現代医学は「体」に偏重しすぎで、「心」をすっかり置き去りにしているきらいは確かにあると思う。
霊が実在するのかしないのか、僕は知らない。ご先祖への感謝を忘れたり墓参りをおろそかにすれば体調不良に見舞われるのか、そのへんの理屈は全然わからない。ただ、そういう視点を導入することで「心」が見たされ、それで不調が改善するのなら、それで全然いいじゃないの。しっかりご先祖に手を合わせるといい。
ただ、個人的には、そういうアプローチは、本当に最後の最後、「もう何をやっても全然効かない」という一番最後までとっておきたい。
食欲不振、睡眠不良、外出忌避。シンプルに「うつ病」の症状なんだよね。有機ゲルマニウムの増量とかCBDオイル、セントジョンズワートとか、まだまだ試してみたいアプローチがあるんだ。そういうのを一通り全部やって、それでもダメだったら、そのときには僕も霊能者にお願いに行こう。

しかしこの患者を見た霊能者が、僕との相性がいいと言ってくれてよかった。逆だったらきついよね。「この医者だけは行ったらアカン!相性最悪や」とかね(笑)

 

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