治験、と呼べるほどたいそうなものではない。ただ、ゲルマニウムの何たるかをまったく知らない2人の男児(7歳児がADHD、5歳児が自閉症)に、有機ゲルマニウムを飲ませてみたのである。
2人は兄弟で「放課後等デイサービス」の利用者である。両親が逮捕されて刑務所に服役中のため、彼らは母方の祖父母宅で暮らしている。言うことを聞かない子供らを祖母が怒鳴り散らし、近所から虐待を疑われて児童相談所に通報されたことも一再ならずある。
関係者全員が困っていた。学校の担任も「放課後等デイサービス」の管理者も子供らの対応に手を焼いていたし、祖父母も困っていた。そして何より、一番困っていたのは、この子供たち自身だろう。感情が爆発して、自分で自分をどうしたらいいのか分からない。
とにかく状況は最悪で、これ以上悪化のしようもないほどだった。
この子供たちにゲルマニウムを無料で提供し摂取させた。そして、その変化を観察する。これが今回の「治験」の目的である。
2020年8月1日祖父母、男児2人来院。
祖母が語る。「もう、私、参っています。子供たちもムチャクチャですが、それを見て自分を抑えられなくて。つい2日前にもひと暴れして、近所の人に「虐待してるんじゃないか」って思われて、警察に通報されました。警察が来てその相手して、それでもう神経が参ってしまいました。
子供らは、上の子がADHDと反応性愛着障害、下の子が自閉症と診断されています。
上の子が、我が強くなってきてやたらと反抗的で、それで怒ることも増えてきて。つい大きな声が出て、それが外に聞こえてしまう。
食事は基本、作るようにしてるけど、私も疲れてて、スーパーでできあいのものを買ってきて食べることも多い。朝はパン。お菓子もよく食べます。というか、お菓子が主食と言ってもいいくらい。特に上の子は偏食がひどくて。
何か嫌なことがあると、すぐにキレます。今日も、神戸に行くということで「アンパンマンミュージアムに連れていけ」と暴れました。内容は可愛いかもしれないけど、デタラメな要求をしてくるあたりがもうヤクザみたいで。
授業にすべて参加することはできません。1人の先生が8人を見るという特別な対応で見てもらっていますが、それでも聞かないので、1対1で見てもらおうかと思っています。
下の子は繊細ですが、思い通りにいかないと1時間でも2時間でも泣き続けたりします。でも最近では上の子の影響か、キレることを覚え始めて、つい先日も幼稚園で他の子にかみつきました」
この診察のときにも、子供らはじっと座っていることができない。お兄ちゃんはすぐに診察室を出て行ってしまい、それを祖父が追いかけ、弟もその追いかけっこに加わる、といった具合で、普通の診察の体をなさない。
本来治験であれば、ゲルマニウムの有効性を知りたいわけだから、食事などの生活習慣は何も変えず、ただ「ゲルマニウムを服用する」というその一点のみを違えて、症状の変化を見るものである。しかしこの家族は悠長にそんなことをしている場合ではない。心身ともにストレスの極みにあるおばあちゃんが崩れれば、家族崩壊は必至である。即刻、僕の持てるすべてのものを突っ込む必要があった。
甘いもの、小麦、乳製品をやめるように指示した。こう言われても、恐らく子供たちはお菓子をやめないだろう。しかし、それでもいい。基本的には、食べちゃダメなんだという認識を持ってもらい、それによって少しでも摂取量が減れば”よし”とする。いきなり百点は求めない。
サプリとしては、ゲルマニウム以外に勧めるものとして、まず、CBDオイル。家族崩壊の危機が差し迫っているのだから、CBDオイルの即効性に期待したい。これは子供たちだけではなくおばあちゃんも服用するといい。気分の苛立ちを速やかに静めてくれるだろう。CBDオイルの風味は独特である。子供たちは偏食だというから「味が無理」と言って飲まない可能性が想定される。「そういう場合は、子供らが寝てるときに、こっそり足の裏とかおでことかにCBDオイルを数滴たらして塗ってあげてください。経皮的にちゃんと吸収されますからね」
近年ADHD、自閉症などの発達障害が急増している。「ワクチンの接種本数に応じて増加しているのではないか」という指摘がある。ワクチンに含有される毒性物質には様々あるが、ひとつには重金属(水銀、アルミ)がある。重金属のデトックスには、メチレーション回路を回してやるといい。そのためには、ビタミンB6、B12、葉酸、B2、ベタインあたりの栄養素を補うといいが、子供たちは恐らく普通のサプリは飲まない。甘く風味付けしたチュアブルタイプなら喜んで食べるだろう。基本、糖分の摂取は減らしたいところだが、ビタミンの補充が何より優先される状況であるから、このタイプのサプリをひとつお勧めした。
さりとて、一応「治験」である。ボランティアではない。おばあちゃんには、子供らの評価者としての仕事をお願いし、事前に作成していたチェックシートを手渡した。食事量、間食の量、便通、睡眠時間、寝起き、集中力、意思疎通、表情などを5段階で評価してもらうものだ。これで子供らの経時的な変化を追いかけることにした。
まず、飲み始めてすぐの変化を知りたかったので、1週間後に再診とし、その後は1か月おきに診察しフォローした。
長い経過を端折って、直近(2021年2月20日)の受診時の様子をお伝えしよう。
診察室の待合で、お兄ちゃんは祖父の肩叩きをし、「あー、気持ちええわー」という祖父の横で、弟は鬼滅の刃のフィギュアで遊んでいる。
僕がお兄ちゃんに「最近調子はどう?」と声をかけると、自分の口元を示してイーンして「きのうここの歯が抜けてん!大人の歯が生えてきた」という。どこにでもいる可愛い子供で、僕は覚えず声出して笑った。
祖母の話。「お兄ちゃんは授業に普通に参加しています。椅子にじっと座って。以前は問題行動を起こして、職員室の常連でした。この前校長先生とたまたまお会いしたのですが、こう言われました。「最近職員室に全然来てくれませんね。すっかりいい子になってしまって何だか寂しいです」と(笑)。友達ができてみんなと遊ぶようにもなりました。
以前は学校に一人で行くことができず、主人が付き添いで行ってたんですが、今は一人で行くようになりました。
私が何か指示すると、ひとまず聞いてくれて、何かしようとするようにはなりました。前は指示するとその時点で反抗していましたが、今はだいぶ落ち着きました。
下の子も穏やかです。幼稚園で誰かを叩いたとか、そういう話を聞かなくなりました。
食欲は二人とも増えましたが、特にお兄ちゃんがすごいです。甘いものは大好きで、正直今でもかなり食べています」
症状の改善ぶりは誰の目にも明らかだった。これで、ひとつの家族が救われた、と考え、この「治験」は終了とした。浅井ゲルマニウム研究所のご厚意で有機ゲルマニウムを無償で提供していたが、それも終了となる。「ご希望であれば自費で購入を」と伝えたところ、おばあちゃん、「ゲルマニウムはもういい」という。「やっぱり高いしねぇ」
できれば続けて欲しいと思ったが、家庭の経済事情もあるのだから、やむを得ない。かつて「お菓子が主食」だったところ、普通の食事をきっちりとれるようになったのだから、ゲルマニウムをやめたとしても以前のように大崩れすることはないだろうとは思う。しかし、大丈夫かな。
ともかく、待合室で見た家族の風景(お兄ちゃんが祖父の肩を叩きその横で弟が遊んでいる)は、栄養状態の改善がもたらしたひとつの「完成図」である。こんな風景は、去年の8月時点では、誰も想像できなかった。
有機ゲルマニウムは、まるで何事でもないように、さらりとこういう奇跡を演出する。