「この子は知的障害じゃないか」と親御さんから思われていた子が、ゲルマニウムを飲み始めたことをきっかけに、どんどん頭がよくなって、ついにはクラスの優等生になってしまった、みたいな話は親御さんからよく聞くし、過去の記事でも紹介してきた。たとえば、
https://note.com/nakamuraclinic/n/n123607ea3c42
「頭がよくなる」というのは、すごいことだ。それは「筋力が強くなる」とか「背が高くなる」というのとは、次元が異なる変化です。なぜなら、知的能力が高まるということは、根本的に人生を変える変化だから。腕力が強くなったからといって、ガタイがデカくなったからといって、この文明社会ではあまり意味を持たない。しかし知性は、人生を質的に変えます。
こういうことは皆さんすでにご存じで、だからこそ、親は我が子が成績優秀であることを望むし、それが達成されたときには大いに喜ぶ。
栄養的な面でいうと、子供を知的に成長させることは、案外簡単です。
たとえば、妊娠したネズミにコリン(神経伝達物質(アセチルコリン)の原料。脳の記憶や情報伝達に関与)を投与する。出産後、その子ネズミの知的能力を測定すると、コリン投与したほうが明らかに頭がいい。逆に、コリン欠乏食をとらせた妊婦ネズミの子供は、知的パフォーマンスが低い。ということは、人間でも同じことが言えるのではないか、ということで以下のような研究が行われた。

妊娠後期の女性26人を、コリン480mg/日投与群(13人)とコリン930㎎/日投与群に分け、出生後、児の4か月、7か月、10か月、13カ月の時点で情報処理力を調べると、すべての時点で930㎎投与群のほうが優秀だった。
こういう研究を見て、「まぁ、赤ちゃん相手の研究だからね。2歳、3歳と成長するにつれて、そういう有意差は消滅するでしょ」と皆さん思うかもしれない。
そこで研究者は、子供たちが成長して、7歳になった時点で同様の検査をしてみた。すると、

7歳時点でも、やはり、コリン高用量投与群の妊婦に生まれた子供のほうが優れていた。
この研究から何が言えるのか?
いろんな結論の引き出し方があるだろう。単純に「コリンのサプリを飲めば頭がよくなる」という解釈もあれば、「ヒトの知的能力というのは、母親の妊娠中の食事で勝負が決まっている」みたいな決定論的な解釈もあるだろう。しかし僕としては、あまり安易にサプリに頼りたくないし、決定論は嫌いです。
妊婦とその子供を対象にした研究だけど、この研究の主眼は、コリンの知的発育への効果です。研究結果は、妊婦だけではなく、子供にも大人にも成り立つはずです。
要するに、卵を食べればいいんですよ。コリン930㎎を卵でとろうと思ったら卵6個分だけど、そんなにたくさん食べる必要はない。毎日1、2個でいい。それだけでも、「継続は力なり」で、知的発育にプラスになるだろう。
あるいは、ビタミンCのIQ上昇効果について以前書いたことがある。
https://note.com/nakamuraclinic/n/n67ff989cf902
大学生がオレンジジュースを毎日飲んだ。たったそれだけのことで、IQが上がった。シンプルながら、説得力のある研究です。
島根県の某病院の精神科で勤務していたとき、IQ検査を受けたことがある。これは、代々この精神科の伝統みたいなもので、新規に入局した医者は全員、IQ検査を受ける。それは、「IQ検査ってこういうものなんだよ」と実際に受けてみる体験的な意義と、精神科の医局長の好奇心(「この新米の知能はどれくらいだろう」)によって行われていたと思う。
測定の結果、WAIS-Ⅲで、僕の動作性IQは110と標準で、言語性IQは130とずば抜けて高かった。検査した心理士が驚いていた。「こんなに高い人は初めてです」と。フフフ、やったぜ諸君。
と誇りたい気持ちがある一方で、しかし、そもそもIQというのは、卵を食べるだけで上がる、あるいはオレンジを食べるだけで上がる。その程度のものです。こんな数字には何の意味もないと思ってるけどね。
【症例】15歳男性
【主訴】ネット依存
2025年7月15日初診。お母さんのみ来院
「高1の息子がネット依存です。夜遅くまでオンラインゲームをやっていて、朝起きれないのが続いています。
親の私が言っても聞かないので、訪問カウンセラーを呼んで話し合ったり、いろいろしたけど、全然やめようとしない。ゲームをやりだすと人が変わるようで、中学3年の頃にはゲームを止めようとする私に暴力さえ振るいました。
朝起きれなくて、せめて遅刻でもいいから学校に行ってほしいけど、そのまま休んだりして、担任の先生から「このままじゃ単位が危ない。留年になる」と言われています。さすがに本人もヤバいと思って、一応学校に行くようになりましたが、学校から帰ってくればすぐにゲーム。休日は一日中ゲーム。食事もとらず、ソファーの定位置に座って、動くこともなくずっとゲームしています。
食事は偏食で、甘いものが大好き。小麦とか麺が好きで、小麦がないと不機嫌になる。せめて有機の小麦なら、と思ってオーガニックの麺にすると「おいしくない」と。牛乳も飲むし、ジュースも好き。
身長の割りにすごくやせているので、エネルギー不足は明らかだと思う。
入学当初は、「そもそも行きたい高校じゃなかった」といって、全然勉強しなかった。でも幸いだったのは、友達や先生に恵まれたことです。親しい友人ができて楽しいみたいで、「ちゃんと卒業はしたい」と言っています。
学校は好きだし、勉強への意欲はあると思う。でも、ゲームにハマってしまって、抜け出せない。明日学校があると分かっていても、朝4時までゲームしてしまったり。本人も苦しいと思います。
中学校は特進コースで、1,2年の頃は優秀で、少なくとも半分より上の順位にいました。今、勉強はまだまだやる気がないけれど、欠点とか赤点は回避してる。中学時代の貯金があるので、それで何とかやれてるのかもしれない」
依存症に対する栄養的アプローチとしては、まずナイアシン。
たとえば、アルコール依存にナイアシンが有効であることは、エイブラム・ホッファーが証明済みだし、他にも、甘いもの依存、買い物依存、ギャンブル依存など、依存症全般に有効です。
さらに、CBDオイルも併用したい。欧米には「酒が飲みたいなら大麻を吸っとけ」という俗諺があって、これには確かに科学的な裏付けがあります。「大麻を定期的に服用する人はアルコール依存症にならない」とする研究は数多くあります。



別に大麻である必要はなくて、CBDオイルでも十分効果があります。
酒に対する欲求というのは、要するに、ドーパミンへの渇望です。ドーパミンへの渇望というのは、依存症の根源で、ここが満たされれば、酒に限らず、病的欲求が全般的に解消されます。ゲームへの欲求も、CBDオイルでいくらか軽減されるだろう。
さらに、オロチン酸リチウムも勧めたい。
飲酒欲求を抑えることはエビデンスがあるし、神経細胞を増殖する作用があるから、知的発育にも大いに効果を発揮するだろう。


ナイアシン、CBDオイル、オロチン酸リチウムのトリプルブロックでゲーム依存の改善を試みた。
ここにさらにダメ押し、アサイゲルマニウムの服用も勧めた。
2025年10月8日再診
「ものすごい変わりようです。ゲームにあれだけ熱中してたのが、平日はほとんどやらなくなりました。私に暴言吐いてまでゲームを手放そうとしなかったことが、今は信じられないくらいです。
でも、タブレットはずっと持ってて、見てるのは変わらないけど、ゲームして人が変わったように暴言吐くなんてことがなくなったので、そういう暴言を聞かなくて済むだけでも、私は楽になりました。
2学期から一日も休まず登校しています。
それから、全然期待してなかったけど、成績がすごいことになりました。もともと勉強はできないほうではなかったけど、ゲームにのめり込んでから、坂道を転げ落ちるように下がっていました。でも8月に受けた外部模試で、学年で1番を取りました。
楽に入れるように、ということで選んだ高校だけど、それでも、学年で1番というのは私もびっくりしました。家であまり勉強してる姿を見せないのですが、授業中に集中して勉強しているようです。
甘いものは、おやつ、ジュース、相変わらずですが、量はずいぶん減りました。
睡眠は12時、遅くとも12時半には寝ます。1時過ぎ、2時過ぎに寝るのが当たり前だったことを思うと、生活リズムはすごく整いました」
「息子のネット依存をどうにかして欲しい」というのが、もともとのお母さんの希望だった。そのご要望にお応えしたのはもちろん、学年1位という偉業まで達成したものだから、お母さんから大いに感謝されました。
もちろんうれしいことだけれど、もともとスペックの高い子だったんだろうね。ゲーム依存が解消され、その意欲が勉強に向けば、爆発的に成績が伸びる素地があった。僕がしたことは、ちょっとした助言だけ。「示唆し、導く」のが医者の仕事で、依存症にもがき苦しみ、それを克服し、前を向いて歩いていくのは患者本人ですから。病気の苦しみも、達成感の喜びも、味わう資格があるのは患者だけです。