いつも両親に付き添われて受診する20代女性。今日、診察室に一人で入ってきた。
「あれ?ご両親は?」
「いえ、大丈夫です」
「ああ、そうですか。調子はどうですか」
「特に問題ないです」
そういう具合に一通りの会話を終えた後で、両親が診察室に入って来られた。
お母さんがいう。
「先生、どう思われましたか?」
どうって、普通ですね。何の問題もなく会話できました。
「そうでしょう。それを見てもらいたくて、まず、一人で入らせました。
ここに初めて来たのはちょうど去年の今頃で、ほぼ1年が経ちました。先生、そのときこの子がどんなだったか、覚えていますか?
まともに話すことさえできなかったんです。それが今では、普通に話せるようになりました」
【症例】20代女性
【主訴】統合失調症
発症は高校生のとき。しかし振り返ってみれば、中学生の頃から独語が多いなど発症の予兆はあった。しかし母親は何かのストレスだろうと思って気にも留めなかった。
高校生のとき、学校で独語が止まらなくなり発症。投薬治療が始まったが、症状は一進一退。薬で落ち着いているときもあるが、そうでないときは、感情面での抑制がきかず、人を罵倒したり卑猥な言葉を叫んだりした。
当院初診は2019年12月28日。ナイアシン、ビタミンC、カンジダ対策など複数のサプリを試すも、著明な改善は見られない。
2月。有機ゲルマニウムを開始。これをきっかけに状況が好転し始めた。まずテレビが見れるようになった(以前は理解力も集中力もなく見れなかった)。さらに、会話の際にきちんと話し方を組み立てて話すようになり、冗談さえ言うになった。
9月。CBDオイルを開始。さらに穏やかになった。母は「どんなサプリよりも効いたな」という印象。寝る前に飲ませるとかえって不眠になることが2回ほどあったため、服用するのは朝、舌下に3滴のみ。
「たったの3滴で効くの?」と思われるかもしれない。
そう、たったの3滴で、人 生 が 変 わ り ま す。それぐらいに、劇的に効きます。
11月。すでにマグネシウムのサプリを飲んでいたが、そこににがりを追加。積極的に摂取するようになったところ、さらなる”改善の階段”をのぼった。
お父さん「ずいぶんよくなったなと思っていましたが、会話の受け答えがさらによくなりました。表情も穏やかになって。切れていた脳の神経が急につながった印象です。本当、急によくなった印象です」
お母さん「発症して3年。ここに通い始めて1年。やっとここまで来たか、と思います。
何が一番効いたのか、分かりません。ゲルマニウム、CBDオイル、マグネシウム。それぞれが、それぞれの仕事をして、今の改善があると思います。
もちろん、完治したわけではありません。オランザピン5mgは続けています。それでも、かつて飲んでいた薬の量と種類を考えれば、ものすごい改善です。以前はそれだけの薬を飲んでさえ、感情が爆発して暴言を吐いたりしていましたから。
改善に伴って、飲むサプリを少しずつ減らしています。たとえばナイアシン。以前は500㎎錠を朝昼夕に2錠ずつ飲んでいたのですが、今はそんなに飲んでいません。正確には、飲めないんです。ホットフラッシュがひどく出て、かゆがります。我慢して続けていたのですが、頭痛がして、さらには吐き気までするようになりました。今は500㎎を朝夕1錠ずつだけです。以前は1日3000㎎飲んでもケロっとしてたんだけど。
CBDオイルの効果は、うわさに違わず、劇的でした。こんなに素晴らしいものが標準治療じゃないのが不思議です。
マグネシウムは、”最後の一押し”、として効いたのかなと想像しています。食事を改め、いろんなサプリを試し、ゲルマニウムでよくなり、CBDオイルでさらによくなった。そこにマグネシウムがさらに相乗的に効いたのかなという印象です。
ねぇ、先生。私、変なこと言うようですけど、この子が3年ぶりに私たちのもとに”帰って来てくれた”感じがするんです。
今、普通の日常生活を送っています。私が洗濯をしたら、この子がたたんでくれて。食事の片付けとか手伝いもしてくれる。「今日は資源ゴミの日だから」というと「いや、今日はゴミの日じゃないよ」とむしろ私の間違いを指摘したりする。ここに来る以前、しゃべることさえできなかったことを思えば、この日常が、私には夢みたいなんです。
今、この子は電車で1時間かけて就労移行の施設に通っていて、それが終わればジムに行って、帰ってきたらご飯を食べて、家事を手伝ってくれて、それで寝て、という毎日です。
ちょっと怒りっぽかったり認知のズレも少しあるけど、以前と比べたら何ということはありません。前は激高したら、本当に手が付けられませんでしたから。
最近、中学生以前のこの子の面影をよく感じるんです。症状に隠れて見えなくなっていた、この子本来の性格ですね。見えないせいで、私も長く忘れていました。
でも最近、”そうそう、この子はこういう穏やかな子だった、こんな感じの子だった”、というのを、思い出すんです。そう、この子、3年ぶりに、ようやく帰って来てくれたんです」