2021年2月

2021年

怖い話

2021.2.3

【症例】30代女性
「夜中にトイレに起きます。それは昔からなんですが、2週間前から、トイレに行った後、寝れなくなってしまって。
子供が夜9時に寝るので、私も一緒に寝ます。トイレに行くのは夜の2時とか3時とか。以前はトイレに行った後も、普通に再入眠できていたんですね。でも、それができなくなって。
これにははっきり、きっかけがあります。
私、寝る前にYouTubeを見ます。2週間前、ある怪談の動画を見たんでが、それが、もう、めちゃくちゃ怖くて。半端じゃない怖さだったんです。
怖すぎて、それ以来、体調がおかしくなりました。まず、寝付きが悪くなりました。ようやく寝ても、やはり深夜に中途覚醒があります。今までなら何も考えずにトイレに行って布団にまた戻って寝れていたのが、怖くてトイレに一人で行けないんです。子供みたいな話で恥ずかしいんですが。
それで最初は、主人を起こしてトイレについてきてもらっていました。でも起こすのも申し訳ないので、今は怖いのをこらえて、一人でトイレに行きます。恐怖と緊張ですっかり目がさえて、布団に戻っても、もう寝るような状態じゃありません。
いろんな怪談の動画を見てきましたから、なんというか、怪談を見る目は肥えているほうだと思います(笑)いつもなら「ああ、怖かった。ああ、おもしろかった」だけで終わるところ、その動画だけは、妙に信憑性があるっていうのかな、恐怖の”ツボ”みたいなのをズボっと突かれた感じです。こんなの見るんじゃなかったって、後悔しています。
霊感はまったくありません。ただ、一度だけ不思議な現象を経験したことがあって、”そういう世界”があるんだろうなとは思います。
この動画を見て以来、怪談の動画を見るのはやめました。ああいうのは軽い気持ちで見ちゃダメだなと思って。今はお笑い系の動画しか見ません(笑)」

話を聞きながら俄然興味がわいたのは、「一体どんな動画なんだ」ということである。
怪談慣れしている女性である。その彼女が恐怖のあまりトラウマになり「もう怪談を見るのをやめる」と決意させてしまうほどの動画とは、一体どれほど怖いのか。

「ある女性に霊が憑りついて、霊能力者がその霊をお祓いするんですが、結局除霊しきれず、その女性が死んでしまう、というのがおおよそのあらすじです。話す人がうまくて、きれいにイメージが浮かんで、そのせいで妙に怖くなって。
主人にも一度その動画を見てもらったんですね。でも主人は、「ふーん」みたいな感じでした。「まぁ怖いといえば怖いけど、いうほどかぁー?」って。
その動画のコメント欄見ても、私ほど怖がってる人はいないみたいでした」

「ぜひその動画を見てみたい。何ていうユーチューバーの投稿ですか?」
診察後、その動画を見てみた。その感想は後ほど。

僕がまずやるべきは、この女性の治療である。ある種のPTSD(心的外傷後ストレス障害)と言っていいだろうが、こういう「心の傷」に対して栄養的にアプローチするなら、まずはナイアシンを勧めたい。拙訳『オーソモレキュラー医学入門』のなかに、日本軍の戦争捕虜になったトラウマのせいでまともに日常生活を送れなかった男性がナイアシンを飲むことでトラウマから解放された話が出てくる。
あるいは、ゲルマニウムが心の傷を癒すこともある。

【症例】20代男性
「ゲルマニウムを飲み始めてから、不思議なことがありました。昔の記憶が鮮明によみがえるんです。たとえば朝、目が覚めたときに、テレビの映像を見るように、昔の映像がよみがえります。いい思い出も悪い思い出も全部です。フラッシュバック、って言うのかな。いえ、そんなにつらい感じはありません。ただ、「ああ、こういうことがあったな」って感じです。確かに自分のことなんですが、映画を見るように、淡々とした気持ちで映像を見ています。このフラッシュバックの経験をしたことで、「自分のうつ症状はトラウマ的な要素がからんでいるのかな」と思いました。
私、中学、高校と陸上をやっていたんですね。短距離走で、毎日ハードな練習をしていました。自分で言うのもなんですが、全国大会で上位入賞したこともあります。でもオーバーワークから故障してしまい、選手生命が断たれてしまいました。そのせいで大学の推薦もとれませんでした。
でも、今でも陸上が好きなんです。テレビなんかで陸上の番組をやっていると、つい見てしまいます。そして、必ず落ち込みます。
なぜ落ち込むのか、自分でも分からなかったんですね。でもゲルマニウムを飲んで、過去の記憶を思い出すようになってから、なぜ自分が落ち込むのか、ようやく分かりました。「自分は深く傷ついていたのだな」と。自分で自分のことって分からないものですね。僕は何となく、「大学の推薦がとれなかったせいでへこんでた」のかなと思っていました。違います。「誰よりも速く走りたい」。その一心で練習に打ち込んできたのに、その夢がついえた。僕はそのことに強いショックを受けていたんだ、ということが、初めて理解できました。

他にもあります。勉強していると、妙に気持ちが下がってくるんですね。「おかしいな」って思ってたんです。たとえば数学の問題を解いてハイになってきて、むしろ楽しく感じるはずのときに、急にうつっぽくなって。自分でもその理由が分かりませんでした。
でもゲルマニウムによるフラッシュバックを経て、気付きました。私は中高一貫の進学校に通っていて、勉強面でもトラウマがあったんですね。劣等感と優越感のうずまく教室の記憶がよみがえって、「ああ、自分はああいう空気がたまらなく苦痛だったんだな」と分かりました。

最近、うつ症状がなくなってきました。有機ゲルマニウムが過去のトラウマを、浄化というか成仏というか、きれいに消し去ってくれたおかげだろうなと自分では感じています。いえ、忘れたわけではありません。記憶はもちろん残っています。でも、かつて感じていた生々しい痛みがすっかり消えた、という感じです。

あと、陸上の記憶を思い出してから、不思議な偶然が連続して起こりました。私にとっては、ユングのシンクロニシティのような劇的な偶然です。
プロ野球選手の○○選手、彼は昔陸上をやっていました。私、全国大会で彼と同じブロックになり、競い合ったことがあります。私の負けでした。つらい記憶です。朝、その記憶を思い出したその日に、○○選手がプロ入りするというニュースを見ました。信じられませんでした。こんな偶然があるのか、と思いました。
他にも、昔陸上の全国大会で知り合って連絡先を交換したけど、携帯の故障のせいで連絡取れなくなった人から、ラインで急に連絡が入ったり。そういう偶然もありました」

有機ゲルマニウムによってうつ病が治った旨の報告はすでに多くあるから、別段特にどうということはない。
ただ、上記患者のような治り方、ゲルマニウムが服用者の心的外傷を癒し、結果、うつ病が治った(少なくとも本人の解釈モデルはそうである)、という話は、僕も初めて聞いた。
浅井ゲルマニウム研究所の中村さんにこの話をしたところ、中村さんいわく、
「過去に同様の話を聞いたことがあります。ただ、かなり珍しいと思います。
うつ病に効く機序としては、カテコールアミンとの相互作用で精神的緊張を緩和する可能性がありますし、ドーパミンとの作用性による脳神経系への影響もあろうかと思います」

以前のブログで、レシチンで過去のトラウマが消失した、という話を書いたけど、この人もゲルマニウムを飲んでいた。
実はレシチンの作用ではなくて、ゲルマニウムの効果だったのかもしれない。

 

有機ゲルマニウムとリウマチ

2021.1.7

以下に二つの症例を供覧するが、いずれもリウマチを主訴とする50代女性で「ゲルマニウムを飲みましたけど、全然効いてる感じがしません」という共通点がある。
【症例】50代女性A
【現病歴】5年前からのリウマチ。最初メトトレキセートとエンブレムで治療開始したが1年後に肺炎を発症し、入院したことをきっかけに同薬剤を中止。その後はステロイドとケアラムの併用を開始。症状は一進一退。手首の腫れ、腕の痛みがあり、症状は日によってばらつきがある。
9月頃より栄養療法を知り、プロテインを飲み始めたところ手首の腫れが悪化。好転症状かと思って、むしろプロテインを増量したが、10月頃より腕や首に激痛が走るようになり、11月にはプロテインを中断した。サプリはNOW社のB50は吐き気がして飲めなかった。
【施療および経過】
有機ゲルマニウム(1日300㎎)服用を指示。
1か月後の再診時「特にひどくもなっていませんが、よくなった感じはしないです」

【症例】50代女性B
【現病歴】2年前にリウマチの診断で投薬治療開始。現在メトトレキセートとステロイドを服用中。足首、手首、指に腫れがある。
その数年前よりレイノー現象(冷えなどで手が蒼白になる)があり、同時に間質性肺炎の診断もされた。以後、インフルエンザ予防のため毎年予防接種を受けていた。
10月頃よりプロテインやサプリを飲み始めた。「たくさん飲むのが大変です。でもリウマチの人のブログとか見てると、みんなたくさん飲んでるし。今のところ効果は全然感じません」
【施療および経過】
有機ゲルマニウム(1日300㎎)服用を指示。
一か月後の再診時。「ゲルマニウム、1本飲みました。でも効果を感じないので、もうその後は飲んでいません」

症状の改善がない、というのは、治療者としてはつらいところである。まずは、多少なりとも改善を感じさせたい。ちょっとでも「あ、いい感じだな」と思えば、患者の治療意欲も上がるものである。「よし、この方向でもう少し頑張ってみよう」と。
しかし効果がまったく感じられないとなっては、不信感が募り始める。「この医者について行って大丈夫か?」と。

上記の症例報告は、無論、簡潔化して書いてある。実際には他に細かいアドバイスやら何やら各論めいた話は当然ある。しかし、今回僕がフォーカスしたいのは、ゲルマニウムである。

ゲルマニウムを1日300㎎服用するように、という指示は、実は非常に控えめである。本音としては、もっとたくさん(たとえば1日1500㎎とか)飲むように言いたい。でも、値段がやや高額であることもあって、僕としてはどうしても遠慮が働いてしまう。悩ましいところだ。
結果を出さないといけない。しかし、あまり出費がかさんでは治療自体の継続が困難、ということにもなりかねない。

たとえば、患者に金銭的な負担が一切なかったとしよう。そうすれば僕は、断言できる。「1日1500㎎、3回に分けてきっちり飲んでくださいね。そうすれば、早いと1,2か月で、遅くても半年以内には改善してきますからね」と。
なぜ断言できるのか?データの裏付けがあるからです。

慢性関節リウマチ患者17人を対象とした以下のような研究がある。
有機ゲルマニウム1500㎎(1日3回分服)で6か月間連日投与した。なお、17人中15人は投薬治療(ステロイド)を受けており、投与期間中も投薬を継続した。
結果、血液所見では、インターフェロンの上昇(15/17)、赤沈の改善(4/17)、RA因子の減少(6/17)が見られた。CRPが陽性から陰性化(もしくは陽性の程度が減弱化)した症例は52.9%だった。
その他、一般症状(疼痛関節の数、朝のこわばり、生活活動度)の改善が80%の症例に見られた。
なお、早い症例では1,2か月、遅い症例でも4~6か月で治療効果が見られた。なお、副作用は認められなかった。(東海大学第四内科 有森茂らの研究による)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci1978/13/1/13_1_80/_article

80%の症例で改善が見られた。これ、すごい成績だと思いませんか?
研究が改善の可能性を保証してくれてるわけだ。もし患者の金銭面の負担に対して遠慮することなくガンガン勧めることができたとしたら、僕は80%の自信を持って「きっと改善すると思いますよ」と言える。
でも、実際には遠慮してしまうので、1日300㎎程度を勧めるにとどまっている。同時に食事改善や他の栄養素の摂取を併せて行えば、300㎎でも効果が出る可能性があると思ってるんだけど、すでに薬を飲んでるような人では、やはり、なかなか効果が出にくいようだ。

・患者の懐事情なんて忖度せず、パターナリズムを全面に押し出して「こうやれば必ず効く!」を提示するのが医者としてあるべき姿でしょ。
・いや、懐を痛めるのは患者なのだから、金銭面の配慮も当然必要でしょ。
治療の本質とあまり関係ないところかもしれないけど、案外こういうところで悩んでいます(笑)

 

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