パーキンソン病の治療
2022.11.13
パーキンソン病は国の指定難病で、基本的には「治らない」とされているけれども、個人的には治る病気だと思っています。あるいは少なくとも、完治までいかずとも、相当程度まで改善できる病気じゃないかなと。
一般に、パーキンソン病の原因は不明とされているけど、全然そんなことなくて、たとえば農薬曝露量とパーキンソン病発生率の相関を示す研究は複数ある。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5629094/
農薬とか殺虫剤はパーキンソン病のリスク因子です。食事はできるだけオーガニックにするとか気を付けてる人が、家でゴキブリや蚊に平気で殺虫剤を撒いたりベープやバルサンを焚いてたりする。換気しないと自殺行為だよ。殺虫剤はタフなゴキブリさえ殺すぐらいの猛毒なんだということを忘れないでね。
農薬が関係しているということは、恐らく炎症とか活性酸素(フリーラジカル)が体内で悪さをしているはずで、ということは、治療としてはそういう炎症を抑えるような食事なり生活習慣なりハーブなりが役立つだろうな、ぐらいのことは見当がつきます。
以下に症例を供覧します。
【症例】70代女性
【現病歴】2021年初め頃より手がこわばるようになり、神経内科でパーキンソン病と診断され、薬を処方された。服薬したところ、副作用が強く出たため中止。2021年10月、別の治療法を求めて当院を受診した。コロナワクチン未接種。
【神経学的所見】歩行が緩慢→小刻み歩行(+) 手がこわばる(たとえばコップを持つと手がコップを持った形のまま固まる)→筋強剛(+) ものをつかもうとすると震える→振戦(+) 表情は乏しい(仮面様顔貌)
いかにも教科書通りの典型的なパーキンソン病である。さて、どのように対応すればよいか?
サプリよりも何よりも食生活こそが命なので、お菓子や小麦を控えるように指導した(パーキンソン病は甘党が多いんです)。「できるだけ日光浴しましょうね」と生活習慣についてもアドバイスして、最後にサプリである。何を勧めるべきか?
まずはアサイゲルマニウムを勧めたい。パーキンソン病は、結局のところ、慢性炎症性疾患です。腸なり脳なりで炎症があって、そのせいで中脳黒質で神経細胞が減少する。それが病態の本質だとすると、炎症を鎮めるようなアプローチはすべてこの疾患に対して保護的に働くはずです。
で、アサイゲルマニウムが炎症を抑えることについては、明確なエビデンスがあります。
https://www.mdpi.com/1422-0067/23/21/13364
これ、中村宣司さんの研究チームが書いた論文で、最近アクセプトされたばかりなんだけど、査読者から「Excellent !実にきれいな研究だ」と絶賛されたらしい。ATPがインフラマソーム(炎症性物質)を活性化し、それによってIL-βなどの炎症性サイトカインが分泌されるところ、ゲルマニウムを投与するとATPと結合し、インフラマソームの活性化が抑制され、結果、炎症それ自体が抑制される。たとえばパーキンソン病患者に投与すれば、脳内で起こっている”火事”がゲルマニウムによって鎮火されるわけです。
チャーガも使いたい。チャーガは地球上に存在するすべての植物のなかで最も抗酸化力が強いのだから、パーキンソン病に効かないわけがないというのが直感です。もちろん、論文的な裏付けもある。
チャーガから抽出した物質(3,4ジヒドロキシベンザルアセトン)を投与すると、パーキンソンに関連した神経毒(6-ヒドロキシドーパミン)によるダメージが軽減するという研究。
さらにCBDオイルもいい。最近厚労省が医療用大麻の使用を解禁することを決めたことで、CBDオイルがますます注目されるだろうけど、パーキンソン病に効くことにもエビデンスがある。
パーキンソン病患者21人を集めてきて、7人ずつを3つのグループに分ける(プラセボ投与群、CBD1日75mg投与群、CBD1日300mg投与群)。すると、CBD300㎎投与群で生活の質(QOL)が上がった。
ナイアシン(ビタミンB3)は、オーソモレキュラー療法の主役級のビタミンで、パーキンソン病に対しても仕事をする。
そもそもパーキンソン病患者では血中ナイアシン濃度が低いことが分かっている。ナイアシンはミトコンドリアのエネルギー産生(酸化的リン酸化)に不可欠の物質だから、ナイアシンが欠乏してはエネルギーが生み出せない。パーキンソン病の症状(疲労、睡眠障害、気分障害)はナイアシン欠乏に見られる症状そのものである。実際、パーキンソン病患者にナイアシンを12か月投与したところ、文字の大きさの改善、疲労軽減、気分改善などパーキンソン病特有の症状が改善した。
さらに、今僕が一番注目しているのが、ブラックシードオイルです。
FLCCCのコロナワクチン後遺症の治療プロトコルに入っていたことで、一気に有名になりました。ワクチン後遺症に使うのはもちろんだけど、僕は他の病気の患者にもけっこうは頻度でこれを使います。そのひとつがパーキンソン病です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4641935/
神経毒性に対してよく効くという論文がある。アルツハイマー、てんかん、パーキンソン病など神経変性疾患に対して副作用なしにスマートに効いてくれる。使わない手はないだろう。
ちなみに、ブラックシードオイルは統合失調症の人にも勧めたい。
『ハロペリドールによる神経損傷に対するブラックシードオイルの保護作用』という論文だけど、このタイトル自身が抗精神病薬の何たるかを語ってるよね。haloperidol-induced neuronal damage、つまり「ハロペリドール誘導性神経ダメージ」っていうんだから。長期に抗精神病薬を飲み続けた人がどうなっていくか、精神科医なら誰でも知っている。脳がだんだん萎縮していくから、未来は明るくない。そういう薬の副作用を少しでも抑えられるなら、飲んでおいたほうがいいだろう。
厚労省指定の神経難病となれば、一般の病院なら治療はお手上げで、せいぜい症状の進行を遅らせる対症療法でお茶を濁すのが関の山である。だからこそ「難病」なわけだ。しかし僕には、ゲルマニウム、チャーガ、CBDオイル、ナイアシン、ブラックシードオイルなど、治療の武器がたくさんある。普通の医者が治療法がなくて悩んでいるところ、僕は「どれを優先して試そうか」というぜいたく悩みを抱えているわけです(笑)
上記患者にはとりあえずゲルマニウムとチャーガを出した。
2022年1月。
「足元の危うい感じは続いています。手の震えも相変わらずだけど、震え方が多少マシになった気がする。その他、便通とか睡眠とか体の具合はずいぶんいい感じです」
→CBDオイル、ナイアシンを追加。
2022年3月。
「これまで、服を脱いだり着たりするのがすごく手間でした。腕を動かそうにも体が固くてなかなか動かなかったので。でもそれがスムーズにできるようになってきました。手の震えはまだ残ってるけど、多少マシ。知り合いに言わせると、顔色がいいしよくしゃべって笑うようになったと。
そう、体感としても去年の10月頃が一番しんどかった。そのときのしんどさを10とすると今は3くらい。ここまでよくなって感謝してます」
→ブラックシードオイルを追加。
2022年9月。
「体調はいい。前は高いところに手を伸ばすのさえ億劫だったけど、今は問題なくできる。服の着替えもすぐに腕を通せる。
ただ、経済的にサプリが負担になってきた。やめれるサプリがあればやめたい。どうでしょうか」
そう、治療に際してはコストパフォーマンスも大事な要件で、基本、健康は安価であるべきだ。出しているサプリは、変な薬ではないから、仮に一生飲み続けてもまったく問題ないけれども、経済的な負担になってはストレスだろう。
ナイアシンは安価だから続けられるとしても、たとえばゲルマはそれなりに高額だから、悩ましいところだ。とりあえず症状の増悪がない範囲で量を少しずつ減らしていこう。
上記患者の経過は、見方によっては、奇跡なんですよ。というのは、西洋医学的にはパーキンソン病は治らないことになっているから。治らないはずの病気が1年ほどの経過でだいたい治ったわけだから、一般の臨床医からすれば奇跡に見えるはずです。
でも自慢じゃないけど、僕はこういう奇跡はけっこう見慣れています(笑)