甲状腺疾患とヨウ素
2023.7.25
そこらへんの内科に行って医者から言われる栄養指導って、だいたい全部デタラメじゃないかって正直思ってるんですね。
たとえば、血圧が高い。「塩分ひかえてくださいね。6g以上とったらダメですよ」とか言われますけど、嘘ですよ。だまされないでください。
8670人を対象とした大規模スタディがあって、塩分摂取量と血圧には相関がないことが示されました。論文著者は「塩分と血圧の関係性は誇張して語られている。血圧を規定する因子は従来考えられていたよりもっと複雑だ。塩分を減らせば下がるという単純なものではない。具体的な要因として、アルコール消費量、年齢、BMI(体格指数)があるが、高血圧と統計的に最も強い相関があったのはBMIである。つまり、高血圧患者に対する臨床指導として、最も強調されるべきは減量指導であって、減塩指導ではない」と結論しています。
あるいは、コレステロールが高いと医者にこう言われます。「コレステロールは万病のもとです。動脈硬化が進んでいろんな病気にかかります。卵とか食べるのやめてください。あと、コレステロールを下げるお薬を飲みましょうね」
これは全部嘘です。一から十まで間違っています。コレステロールは万病の元ではないし、動脈硬化の原因ではないし、卵をやめても無意味だし、コレステロール降下薬(スタチン)は毒物そのものです。
まず、コレステロールは細胞膜やホルモンを作るため材料であって、決して万病の元ではない。体内にあるコレステロールのうち、2割が食事由来、8割は肝臓で産生されているという。いいですか、体は常に間違えません。必要だからこそ、肝臓が頑張って作っているわけです。それなのに、僕ら医者は、薬を使ってまで躍起になってコレステロールを下げようとする。そっちのほうが病気の原因ですからね。
コレステロールを下げるために卵をやめたって無意味ですよ。高コレステロール血症とは逆に、コレステロールが低くて悩んでいる人っているんですけど、こういう人が卵を何個食べたってコレステロールは上がらない。
だから、卵は遠慮なく食べてもらっていい。
コレステロールを食事の改善で下げたいなら、個人的にイチオシは麹です。他にも、リンゴ酢、ブラックシードオイル、ウコン、チャーガ、炭なんかを摂るといい。サプリでいうと、ナイアシンやヨウ素も理想的な数値に落ち着きますよ。
あるいは、尿酸値が高くて痛風の人に対して、医者がまず言うのが「禁酒してください。あとプリン体が高い食事は避けましょうね」
これについては、必ずしも嘘とは言わない。アルコール多飲と痛風発作の相関を報告する研究は確かにある。でも、だからといって、禁酒まで必要だとは思わない。
鹿児島大学医学部教授の納光弘先生(HTLV1の発見者)が『痛風はビールを飲みながらでも治る』という本を書いている。具体的には「ビールを1日750ml程度なら問題ない」とのこと。世の飲兵衛には朗報ではないですか(笑)
個人的には、痛風に一番効く栄養素はヨウ素だと思っています。
「尿中ヨウ素排出量が多いほど(ヨウ素摂取量が多いほど)痛風の発生率が低い」という論文です。ここでは詳しくは触れませんが、この機序には甲状腺が関わっています。
甲状腺の病気(バセドー病、橋本病、甲状腺癌など)の人に対して、たいていの医者は「ヨウ素はダメです。昆布、ワカメ、モズク、ヒジキとか海草の類いはヨウ素が多いので避けてください」みたいな指導をします。
これ、ひどい話だよ。昆布でダシをとったり味噌汁にワカメを入れることができなくなる。日本の食文化の否定です。本当にこんな制限が必要なの?
バセドー病というのは、甲状腺機能亢進症、つまり、甲状腺ホルモンを作り過ぎてしまう病気です。そして、ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料だから、ヨウ素の摂取を禁止することは一応筋が通っているように見えます。
しかし、逆こそが真実です。バセドー病の人はもっとヨウ素を摂るべきです。「何をトチ狂ったことを言っているのか?」と思われるかもしれません。でも、本当のことですよ。
https://www.juntendo.ac.jp/news/09117.html
バセドウ病にヨウ素が効く。150年前から分かっていたことです。
しかし、甲状腺ホルモンの産生を抑える薬(メルカゾールなど)が登場したことで事情が変わりました。これまで標準治療だったヨウ素投与が、まるで禁忌のように避けられるようになった。この背景には薬を売り込みたい製薬業者の思惑もからんでいます。
橋本病は、自己免疫疾患の一種で甲状腺に自己抗体ができてしまう。それで甲状腺で慢性的な炎症が起こり、甲状腺ホルモンの産生が低下していろんな不調が生じる病気です。
橋本病の人にも、ヨウ素の投与が好ましい(ただし使用量には注意が必要)。
というか、甲状腺の免疫異常の原因はヨウ素欠乏によるものではないか、という論文さえあります。
https://www.bmj.com/content/352/bmj.i941/rr-2
つまり、病院で橋本病の診断を受けて「昆布とかワカメは避けてくださいね」と言われその指導を律儀に守っていた人は、むしろ病気を悪化させていたということです。
バカみたいですね。でもこういうバカみたいな事例が臨床現場にはあふれています。だから僕は患者に常々言っています。「病院に行くと病気になるから行っちゃいけないよ」と。
要するに、バセドー病であれ橋本病であれ、僕は甲状腺疾患患者のほとんど全員にヨウ素を勧めています(一部例外はある)。
それどころか、僕は現代日本に生きるすべての人がヨウ素を積極的に摂るべきだとさえ考えています。
それは、今の社会には甲状腺に対して毒性を発揮する物質があふれているからです。こうした物質に対して、ヨウ素は解毒薬として機能します。
毒の一例として、フッ素と臭素をあげましょう。
フッ素は、たとえば、歯磨き粉に入っていますしフッ素コーティングの調理器具や薬にも入っています。コンタクトレンズにも含まれているというのは意外ではないですか。
あちこちに使われているフッ素ですが、発癌性や神経毒性があることが確認されている。れっきとした毒物なんです。
臭素は、たとえばヤマザキパンは自社製品に臭素酸カリウムという添加物を使っています。
臭素酸カリウムの発癌性は1982年日本の研究者のマウス実験で証明されました。これを受けて、諸外国では臭素酸カリウムの使用が禁止されましたが、当の日本ではその使用が続けられているという、奇妙なねじれがあります(笑)
つまり、僕ら日本人の体には、フッ素や臭素がたっぷり蓄積しているはずです。そんな僕らだからこそ、ヨウ素が必要です。ヨウ素の摂取により、フッ素や臭素がデトックスできます。
男3人女3人の被験者にヨウ素サプリを1錠or2錠or3錠飲んでもらい、その後尿中のハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)濃度を計測した。すると、こんな具合になった。
ヨウ素サプリの投与により、尿中のフッ素や臭素が増えている。しかもそれは用量依存性になっている。つまり、ヨウ素の投与量が多いほどフッ素や臭素のデトックスが進むということだ。
これは理科の話です。昔、周期表というのを習ったでしょ。
右のほうにハロゲンと呼ばれる縦の並びがある。化学では「同族元素(同じ縦の並びの元素)は似たような化学的作用を持つ」という法則があって、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、どれも体内での振る舞いが似ているんですね。
僕ら現代人の体内にはフッ素や臭素がたまっているせいで、ヨウ素が働けなくなっています。そこで、ヨウ素サプリをしっかり補ってやると、尿にフッ素や臭素がデトックスされていく。それが上記の研究で実際に示されたわけです。
さらにもうひとつ、僕が心配なのは、放射性物質の害です。東日本大震災から10年以上経ちますが、いまだに福島第一原発から放射性物質が出ているという指摘があります。
近辺で採れた食品から「高濃度のヨウ素」が検出された。こういう文脈のヨウ素は、放射性ヨウ素です。
甲状腺や乳房は「ヨウ素食い」ですから、食品由来のヨウ素を組織に大量に取り込みます。それが天然ナチュラルなヨウ素ならいいのですが、放射性ヨウ素であった場合、被爆することになります。
実際、放射性物質が原因で甲状腺癌を発症したとして、裁判にもなっています。
そんな原発事故のときに役に立つのがヨウ素です。十分量のヨウ素を摂取していると(甲状腺組織がヨウ素で充足していると)、外部から放射性ヨウ素が飛んできたとしても、いわば「入る隙間」がありません。椅子取りゲームのイメージです。ナチュラル型のヨウ素が充足した甲状腺には、放射性ヨウ素が取り込まれる余地がないのです。だからこそ、原発事故のときにはヨウ素剤の服用が被曝防止に有効です。
つまり、フッ素や臭素を日常的に摂取し、かつ、放射性ヨウ素に被曝するリスクもある僕ら現代日本人にとって、日々継続的にヨウ素を摂ることは健康維持に重要ではないか、ということが僕の提案したいことです。特に東側に住む人にとってヨウ素はマストアイテムじゃないかな。
【症例】50代女性
【既往歴】甲状腺機能低下症、うつ病、肥満
【現病歴】ここ5年ほど症状がひどく、発達障害の診断で障害者年金をもらっている。症状を改善し働けるようになりたいとのことで2023年4月25日当院受診。
さて、どうするか。まず食事改善は必須。特に甲状腺が悪い人はぜひとも小麦をやめたい。
サプリとしては、ゲルマニウムを勧めたいところだけど、金銭的に厳しいと。それならヨウ素を使おう。まずは1回2滴とか、ごく少量から始めてください。数日様子を見て、特にどうもないようなら3滴に増量。それでさらに数日見て、大丈夫ならもう1滴増加。そんな感じで、5滴を上限にしましょうか。
2023年6月6日再診。
「うつ病、治ったと思います(笑)働きたいんですけど、ハローワークの人からお医者さんの意見書がいると言われました。書いてもらえますか。
ヨウ素が劇的に効きました。実は前回言い忘れてたけど、深夜に動悸することがけっこうあります。心臓が痛くて、本当に死ぬんじゃないかと。でもヨウ素を飲みだしてからそれがぱったりなくなりました」
2023年7月18日再診。
「血圧が220とかあって、他の医者で薬を飲めと言われてるけど、飲んでいません。それが、ヨウ素を飲みだした頃から180台に下がっています。
あと、メンタルは以前に増して安定しています。頭が驚くほどクリアです。以前は事務職でしたが、頭がぼんやりして文書が読めなくなって休職しました。でも今、本が読めます。文字を読むことへの億劫さが消えました。
ヨウ素を飲み始めて、体重が3kg落ちました。いや、もともとが超肥満なので、3kgくらい特にどうということはありません。というか、BMI的にはもう10kgは落としたいところです。汗かきやすくなってやせやすくなったので、10kg減も夢じゃないかなと。
実は甘いもの、けっこう食べていました。ダメだと分かっているけど、やめれられなくて。でもヨウ素飲みだしてから、甘いもの衝動はずいぶん減ったと実感しています。
頭がこんなにクリアになって、感動しています。人生が変わったなと。それで5滴を超えて、今7滴飲んでいます。すごくいい感じです。
母が認知症なんですが、ヨウ素効きますか?飲ませてもいいでしょうか。
あと、癌に効くってことはないですか?」
そう、ある種の癌にはよく効く。認知症に有効なケースもある。うつ病にもいいし統合失調症にもいい。
ここ半年ほど、ヨウ素を臨床で使い始めて以後、大きな手ごたえを感じている。また稿を改めて紹介しよう。