以前に告知したように、毎月、医師、歯科医師、獣医師を対象に有機ゲルマニウム研究会をオンライン上で実施している。4月11日、その第2回を行った。
理想としては、参加している医療者の皆さんとゲルマの使用経験を語り合う場にしたいところだけど、現状では積極的に使用しているのは僕だけなので、最初のうちは僕のひとり語りになってしまうのは仕方ない。
前半で浅井ゲルマニウム研究所の島田さんに『アサイゲルマニウムの鎮痛効果』について講演していただいた。それに対する質疑応答のなかで、僕はこんな話をした。
ある40代女性が「歯が痛い」ということで当院を受診されました。うちは歯医者じゃないんだけど(笑)この患者が言うわけです。「ロキソニン飲んでも今治水飲んでも何をやっても効かない」と。みなさん今治水ってご存知ですか。今治市の水ってことじゃないですよ(笑)こんじすいと読みます。
クローブ、シナモン、ミント、カンファーなど痛みを抑える生薬を使った第2類医薬品で、薬局とかネットで買えます。
しかしこの人は何をやっても効かなかった。歯医者を3件まわったけど、どの歯医者も「問題ない」と言う。それで「どうにかして」ということで当院に来られました。
そこで僕はこう言いました。「ゲルマニウムを歯茎の痛む箇所に当てておくように口に含むといい」と。そして、個人的に信頼している別の歯医者を紹介しました。
それから1か月後、この人が再びうちに来て、「ゲルマは確かに効きました。確かに一瞬楽になりました。でもそれで根本的に治るわけではありませんが。紹介してくれた歯医者に行って麻酔を打ってもらいましたが、麻酔が全然効きません。おかしいなということで歯の詰め物を外すと、中から大量の膿が出てきました。その膿が出た後ようやく麻酔が効いて、その歯を抜いてもらいました」
この話には重要なポイントが含まれています。
まず、麻酔という鎮痛方法は血流に依存しているということです。この患者の痛む箇所には大量の膿が貯留していて、そのせいで内圧が高まり、虚血状態にあった。これではさすがの麻酔も鎮痛効果を発揮できない。しかしこのような状態であっても、ゲルマニウムを口に含んで痛む箇所に当てていると「痛みが楽になった」とこの患者は言っているわけです。ゲルマニウムの鎮痛作用は血流に依存していないということです。歯茎から経粘膜的に吸収されて血流非依存的に鎮痛作用を発揮した。これがゲルマニウムの非常にユニークなところだと思います。
後半は僕の症例提示。以前の記事に書いたことがある症例ですが、不登校の9歳男児がゲルマニウムを飲み始めてから学校に通えるようになった例について紹介しました。
【症例】9歳男児
【主訴】チック、不登校、皮膚掻痒感
【現病歴】2020年3月、コロナ自粛が始まった頃あたりに「ざわざわした気持ちになる」といって学校に行けなくなった。学校だけではなく、外に出ること自体が困難になった。同時期から全身にチックとかゆみが出現した。皮膚科に行って薬(飲み薬、塗り薬)を処方されるも改善しない。同年9月当院受診。
お母さん「2018年にこの子の父、私の夫が亡くなったんですね。それ以後、おかしくなったと思います。そこにコロナ自粛の影響が加わって、ますます悪化したようです。本人も『パパに会えなくて寂しくてこんなふうになったと思う』と言っています。カウンセリングのような治療を受けた方がいいでしょうか?
最近は明らかに元気がなくなって、何もせずに横になっていることが多いです。食事量も減っています。睡眠についても、今まで9時には寝れていたのが、最近は気持ちの不安定からなかなか寝れないことも多いです。
学校に行きたい思いはあります。ただ、急に人混みが苦手になりました。学校もそうですし、電車とかレストランとかに入るのも抵抗があります。
皮膚は以前はすべすべしてきれいでしたが、最近は全体的にガサガサしています。軟膏を塗っても効きません。皮膚のせいなのか、お風呂も嫌がります。皮膚の感覚異常でしょうか。
チックも夫が亡くなった頃に始まりました。音声チックと運動チック、両方あります。音声チックは、同じ言葉を2,3回繰り返したり。運動チックは、ジャンプしたり、ぎゅっと目をつむったり。最近チックがあまりにもひどいので病院に行ったら、ADHDに効く薬を処方されました。ネットで調べると、ほぼ覚醒剤に近い薬だと。怖いのでまだ飲ませていません。お守り代わりに持っていますけれど」
こういう症例を見て、まず何を考えるか?
本人は、父に会えない寂しさのせいで様々な不調が生じたと考えている。人間は、肉体という物質的な存在であるばかりではなく、心という精神的な存在でもあるから、こういう本人の解釈モデルは大事である。だから、カウンセリング的なアプローチも、一度は試してみてもいいかもしれない。
ただ、一般論として、普通の人間は寂しいからといってチックを発症しない。他に原因があるに決まっている。そこで、探りを入れてみる。「ワクチンをよく打っていた、ということはありませんか?」
「夫は白血病でした。感染症にかかってはいけないと思い、この子にはワクチンを欠かさず打つようにしていました。すでに小児ワクチンはすべて打っていますが、さらにインフルエンザはもちろん、麻疹、風疹の追加接種なども積極的に受けました」
ああ、なるほど。この時点でおおよその見当がついたが、まだ断定はしない。持参の採血データを見ると、
中性脂肪 49 mg/dl ヘモグロビン 12.9 g/dl コルチゾール 4.4 μg/dl
中性脂肪が低い。なぜか?
ひとつの可能性として、ワクチン接種により中性脂肪が低下する。
また、ヘモグロビン12.9と軽度ながら貧血がある。ワクチンは腸内細菌叢に壊滅的な打撃を与える。腸内細菌叢は中性脂肪を含む脂質代謝に関与していると同時に、腸での造血にも関与している。言い間違いではない。繰り返すが、腸内細菌叢は腸での造血に関与している。
ここで千島学説について少し触れておこう。
千島学説というのは1963年に千島喜久男博士によって提唱された説で、たとえば「赤血球は様々な体細胞の母体である(赤血球一元論)」「病原体の自然発生説」「腸造血説」「獲得形質は遺伝する」などと主張していることから、当時異端視されたのはもちろん、今も学界主流派から無視され続けている。
しかし最近、千島学説の正当性裏付ける研究が相次いでいる。
線虫をストレス下で飼育したところ、生存力が向上した。その次世代をストレスのない状態で飼育したものの、親世代が獲得した生存力の向上がそのまま保たれていた。つまり、生存力の向上という獲得形質が次世代に受け継がれたことになる。
あるいは、ネズミに匂い刺激と同時に痛みを与えることを繰り返すと、匂い刺激がトリガーとなって不安反応が見られるようになる(条件付け)。このネズミから生まれた次世代に匂い刺激を与えたところ、親世代と同様、不安反応が観察された。つまり、「匂い刺激に対する恐怖」という獲得形質が次世代に受け継がれたということです。
すごく簡単な実験だけど、説得力がある。線虫で見られ、マウスでも見られたということは、恐らく人間でも同様の現象が見られるはずです。スポーツが好きな親からは運動好きの子供が生まれるし、読書好きの親の子供が本の虫になるのは、環境要因だけではないだろう。逆に、何かへの憎悪や嫌悪も受け継がれるんじゃないかな。「勉強が大の苦手で、劣等感を植え付けられた」という苦い記憶が親にあれば、子供はそういう記憶をも受け継ぎ、自然と勉強嫌いになる。遺伝学にはメンデル遺伝だけでは説明がつかない現象が極めて多いことは生物学者のあいだではよく知られているけれども、千島学説はその溝を埋めてくれるんじゃないかな。
さて、コルチゾールも4.4と低値だけど、これもワクチンの影響で説明できる。
ワクチンにより副腎がダメージを受けた結果、副腎でのホルモン産生が低下する。
あるいは、もっとズバリ、ワクチンに含まれる水銀の曝露とチック症の発症率に関する研究がある。
要するに、僕としては、この子の不調はすべてワクチンの副作用で説明がつくと思っています。そこで、食事の改善とともに、有機ゲルマニウムを含む複数のサプリを勧めた。
以下、その後の経過です。
10月受診時。
「チックが少し治まっています。かゆみに関しても、かさかさがマシになっている印象です。不安感も軽減しています。以前の不安を10とすると、今は3ぐらいでしょうか。
学校に行くのはまだ難しいですが、週に1回、保健室登校ならできるようになりました」
12月受診時。
「チックはほとんど出ません。出るとしても1日に1回くらいです。感情と連動していて、興奮すると出ます。日常的に出るということがなくなってきました。
学校には少し行けるようになりました。11月は週に2,3回とか。行っても1時間くらいです。それ以上は、気持ちがしんどくて耐えられず、帰ってきます。それでも、少しずつでも学校に行けるようになったことは、すばらしい進歩だと思っています」
2021年2月受診時。
「学校に週3,4回は行けるようになりました。週4回だと翌週にしんどさが持ちこしてしまうようで、週3くらいがちょうどいいようです。授業への集中力も高まってきました。
先生、いろいろサプリを出して頂いていますが、はっきり確信したことがあります。この子に一番効いているのは、間違いなく有機ゲルマニウムです。
というのは、ゲルマニウムが切れたことがあったんですね。でも、「最近順調だし、まぁいいや」って飲まずにいたんです。そうすると、2,3日してまたチックが激しくなって。ひきつけみたいなひどいチックは久しぶりでした。学校に行くのもおっくうになって集中力も下がりました。
この経験から、やっぱり絶対ゲルマニウムだなって私も本人も分かりました。
体調が改善するにつれ、お父さんのことを思ってふさぎ込むこともなくなってきました。少し前に三回忌がありました。いつも命日が近付くとナーバスになるのですが、今年はずいぶん穏やかに乗り切れました」
「白血病で免疫力が弱る旦那さんへの配慮として積極的にワクチンを打ち、結果、そのワクチン接種が遠因となって、心身の不調を生じた」というのが僕の想定する作業仮説である。ただ、この仮説は「お父さんが亡くなったせいで学校に行けなくなった」という患者の解釈を否定するものではない。このあたりは、ひとまず「そうやなぁ。お父さん亡くなって寂しいなぁ」と共感的に聞いておくだけでいい。
腸内細菌叢が改善し症状が改善してゆくにつれ、心の傷も次第に消えてゆく。
そう、心の傷の背景に、体の傷が隠れていることの、何と多いこと。
【最後に】
ゲルマニウムについて、僕の本が出ました。
気になる方はご一読ください。